エスノグラフィー調査「父親がいる日・いない日の夕食はいかに違うのか」

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電通+藤田ゼミ産学共同研究プロジェクト ethno idea lab (執筆担当:高橋杏樹)

今回は一家の大黒柱・・・!?である父親がいる場合、いない場合の傾向を報告します。「男が稼ぎ、女は家事・育児」という性別役割分業意識が昔に比べて薄れてきたとはいえ、料理するのはどの家庭でも母親でした。では、実際に家庭ではどんなものを食べているのでしょうか。
いるとき
父親がいるときは、おかずの品目が多く、料理に手間がかかっていました。
いないとき
父親がいないときは、いるときと比較して買ってきたお刺身やお惣菜をおかずにしている割合が多くみられました。なかには、カップラーメンの家庭もありました

ここで、大学生Aさんの家庭を例に解説したいと思います。Aさんの父親は単身赴任で、月に1、2回しか家に帰ってきません。料理をするのはほぼ母親です。Aさんの家庭でみられた傾向は、父親がいないときは「もっぱらテキトー」

ちなみにAさんの父親が不在時の「テキトーさ」は食事のときに限らず、部屋の汚さなどにも表れています。

食事の内容
<父親がいるとき>

 フィールドノート①(2015年6月某日の夕食)
献立:ピカタ、カツオのお刺身、千切りダイコン、きゅうりスティック

<父親がいないとき>
 フィールドノート②(2015年7月某日の夕食)
献立:ピーマンの肉詰め、サラダ(ブロッコリー・トマト・ゆで卵)、白米、さんまのか ば焼き(残りもの)

献立の決定
<父親がいるとき>
 フィールドノート①より

なぜ今日の献立にしたかを聞くと、「パパが食べたいっていったから。食べたいものいつも食べられないでしょ」 という。Aが「えらいね」というと、「ふつうでしょ」とドヤ顔で返す。

<父親がいないとき>フィールドノーツ②より
18:40母親は、台所に立ち、ブロッコリーを洗う。赤い、鍋のようなシリコンの容器 に入れて、電子レンジで2分30秒加熱。

 「ごはん何にしようか。」とまだ献立を決めていないようだった。冷蔵庫をじぃーっと見て、買ってからそのままの牛ひき肉、袋詰めのピーマンを取り出す。

父親がいるときは、父親が好きな料理を出し、好みの味に仕上げようとしていました。
味の確認
<父親がいるとき>フィールドノート①より
(ピカタが完成して)すると、「やばい。ピカタまずい。これはパパの好きな味じゃない。」といきなり顔をしかめながら言う。

<父親がいないとき>フィールドノート②より
母親はキッチンに戻り、ピーマンをひっくり返す。こんがり焼く。皿にピーマンを1つ 取り出して、中の肉を割って、焼けているかをチェックする。

 その後、それを味見し、「しょっぱ!」という。でも、「ピーマンと一緒に食べるからいいか~。」と言って何もせず、火を止め、できあがり。

 

父親不在時は、キッチンに立ってから献立を考え始め、冷蔵庫にあるもので献立を決めていました。少し味つけに失敗してしまっても、気にもとめません。

また、Aさんの母親のスイッチが切り替わる瞬間がありました。

 フィールドノート③(2015年7月某日の夕食)
(夕食後)母親は台所からポテトチップスを持ってくる。そのまま食卓に残って音楽番組を見ながらポテトチップスをAと食べている。そのとき、父親から家族ラインに帰ってくるとラインがきた。母親は「えー!聞いてないよ!いきなり!頭くるわ!」とラインを見て言う。

 母親はラインを見てすぐ立ち上がり、リビングを片付け始める。父親が帰ってくる前には、いつもこのように片づけをするという。

Aさんの母親は、帰る連絡が遅い父親にイラついています。ダラダラ時間が終わり、せっせとリビング、ダイニングの片付けと、父親用の料理を作り始めます。

決して両親の仲が悪いわけではないそうです。妻は夫の前ではシャキッとしなきゃという気持ちがどこかにあるのかもしれません。

 

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